この記事で分かること
- 当初範囲外の追加依頼を、元の課題と分ける判断基準
- 追加依頼を受けてから、対応を確定するまでの整理方法
- 既存タスクの担当者・期限・着手順への影響を確認する方法
Web制作を進めていると、クライアントから当初予定になかったページ追加や機能変更を依頼されることがあります。依頼へすぐ対応しようとして元の課題へ混ぜると、当初の完了条件や期限が分からなくなり、ほかの課題の着手や完了にも遅れが広がります。
追加依頼を整理するときに大切なのは、依頼を断ることでも、すべて別課題にすることでもありません。依頼を受けた時点と対応を確定した時点を分け、元の予定への影響を確認してから判断することです。
修正依頼の登録と追加依頼の影響判断を分ける
通常の修正依頼は、対応が必要な内容を漏らさず課題として登録し、担当者・期限・完了条件を明確にします。一方、当初範囲外の追加依頼では、登録したあとに既存予定への影響を判断する必要があります。
たとえば、次の違いがあります。
- 当初範囲内の修正:事前に合意した確認範囲内で、確定済みデザインに合わせて余白を調整する
- 当初範囲外の追加:新しい申込フォームを追加する
前者は元の完了条件や期限を変えずに対応できる場合があります。後者は、要件確認、デザイン、実装、テストが増え、担当者や納期、見積もりへ影響する可能性があります。
届いた依頼を漏らさず登録する基本は、Web制作の修正依頼を漏らさない管理方法で紹介しています。この記事では、登録した追加依頼を受けるか、いつ対応するかを判断する段階を扱います。
依頼を受けた時点では対応を確定しない
クライアントから依頼が届いた時点では、内容を記録しても、すぐに対応を約束しません。まず、依頼内容と希望時期を確認し、既存の作業へ与える影響を整理します。
受付時に確認するのは次の内容です。
- 何を追加・変更したいのか
- 依頼の目的と必要な理由
- 希望する完了日
- 変更できない公開日やキャンペーン開始日があるか
- 原稿、画像、仕様など、クライアントから必要な情報
- 当初の依頼や契約範囲に含まれているか
内容を課題へ登録した時点では、状態を「未対応」にします。「検討中」という架空の状態があるようには案内しません。影響を判断する担当者を決め、判断に必要な情報や次に確認する内容を詳細またはコメントへ残します。
追加対応の完了期限がまだ決まっていない場合は、希望日や次回確認日を無理に期限欄へ入れません。期限を決められない理由と次回確認日をコメントへ残し、対応方針が決まってから完了期限を設定します。
元の課題へ混ぜず、別課題にする基準
次のいずれかに影響する追加依頼は、元の課題を書き換えず、別課題として登録します。
- 当初の完了条件
- 担当者や必要な作業者
- 完了期限や作業期間
- 作業の着手順
- 見積もりや契約範囲
- 別の課題の開始条件
元の課題へ追加内容を混ぜると、当初どこまで対応する予定だったのか、なぜ期限が変わったのかをあとから確認できません。元の課題は当初範囲のまま残し、追加課題の詳細またはコメントに元の課題番号と関係する作業を記載します。
ただし、軽微な修正まで必ず別課題にする必要はありません。同じ担当者が同じ期限内に対応でき、元の完了条件やほかの予定へ影響しない修正は、元の課題の詳細またはコメントへ追記して管理できます。
分けるか迷った場合は、「追加内容がなくても元の課題を完了にできるか」を確認します。追加内容が元の完了条件とは別に完了を判断できるなら、別課題にする方が範囲を明確にできます。
当初範囲・追加範囲・完了条件を明記する
追加課題の詳細には、少なくとも次の内容を残します。
- 当初範囲:元の課題や当初予定で対応する内容
- 追加範囲:今回新しく依頼された内容
- 追加理由:何のために必要なのか
- 完了条件:どこまで対応・確認すれば終わりか
- 関係する課題:影響を受ける元の課題や後続作業
- 判断に必要な情報:未確定の仕様、原稿、確認事項
たとえば、次のように記録します。
当初範囲は資料請求フォームの文言修正。追加依頼は入力項目2件の追加と、送信内容に応じた通知先の変更。新しい入力項目が画面と通知メールへ反映され、テスト送信で指定先への到着を確認できたら完了。既存のフォーム確認課題と公開前確認に影響する。
追加課題には、当初範囲・追加範囲・完了条件・関係する課題を記録します。
詳細には判断の前提を残し、受付後に分かった情報、対応可否、日程変更の理由、クライアントへ伝えた内容はコメントへ時系列で残します。
課題一覧で既存タスクへの影響を確認する
追加依頼を登録したら、対応を決める前に、プロジェクト内の課題一覧で既存タスクを確認します。
見るポイントは次のとおりです。
- 同じ担当者に期限の近い課題がないか
- 追加対応より先に終える必要がある課題は何か
- 追加対応によって後ろへずれる課題はないか
- 確認する人やクライアント確認の時間を確保できるか
- 元の納期を変えずに完了できる作業量か
- 追加依頼に必要な情報がそろう時期はいつか
課題一覧では、追加課題と既存課題の担当者・状態・期限を合わせて確認します。
課題一覧が、追加依頼の影響を自動分析するわけではありません。担当者、期限、状態、コメントを見て、どの課題へ影響するかをチームで判断します。
ガントで日程の重なりを見る
複数日にわたる追加作業や、公開日までの工程に影響する依頼は、プロジェクト内のガントチャートで確認します。
ガントでは、追加課題の作業期間と既存課題の重なりを確認します。
ガントでは、次の点を見ます。
- 追加作業を入れられる期間があるか
- 同じ担当者の作業期間が重なっていないか
- 確認と差し戻しに必要な時間が残っているか
- マイルストーンの期限までに必要な課題が終わる予定か
- 追加作業により、後続作業の開始が遅れないか
Tasselが追加課題の登録に合わせて、既存課題の期限や着手順を自動調整する前提にはしません。日程を変える場合は、影響する課題を一件ずつ確認して更新します。
対応方法を決める
影響を確認したら、追加依頼をどのように扱うか決めます。選択肢は一つではありません。
元の納期内で対応する
作業量が小さく、既存課題へ大きな影響がない場合は、元の納期内で対応します。追加課題の担当者、完了期限、完了条件を設定します。
ほかの課題より先に進める場合は、着手順を変える理由をコメントへ残し、後ろへずれる課題がないかを確認します。
納期や既存タスクを調整して対応する
追加依頼を優先すると元の予定を守れない場合は、追加課題だけでなく、影響を受ける既存課題の期限や着手順を個別に見直します。
納期変更をTassel内だけで決めず、クライアントと合意した内容を反映します。変更前の期限、変更理由、合意した新しい日程をコメントへ残すと、あとから判断経緯を確認できます。
別見積もり・別対応にする
当初範囲や契約条件を越える場合は、別見積もりや別の対応時期を検討します。見積もりや契約変更はTasselの専用機能ではなく、チームとクライアントの実務上の判断として扱います。
見積もり確認中は、対応が確定したように「処理中」へ進めず、「未対応」のまま判断に必要な内容と次回確認日をコメントへ残します。
別プロジェクトとして扱う
成果物、納期、参加メンバー、契約範囲が元の案件と大きく異なる場合は、追加課題ではなく別プロジェクトとして扱う方法があります。
別プロジェクトにするかは、作業量だけでなく、別の成果として完了を判断する必要があるか、元の案件と分けて進捗や資料を管理したいかで判断します。対応を合意する前に新しいプロジェクトを作るのではなく、範囲と進め方を決めてから整理します。
対応しない
契約範囲、技術的な制約、納期、優先順位などから対応しない場合もあります。依頼を削除せず、対応しない理由、クライアントへ伝えた内容、代替案があればその内容をコメントへ残します。
非対応の判断とクライアントへの連絡まで終わり、追加で必要な作業がなければ課題を「完了」にします。判断が終わったという理由だけで、別の作業が残っている課題まで完了にしないようにします。
クライアントへ影響と選択肢を伝える
追加依頼へ回答するときは、対応可否だけでなく、既存予定への影響と選択肢を伝えます。
たとえば、次の内容です。
- 追加対応の範囲と完了条件
- 対応に必要な期間
- 元の納期やほかの作業への影響
- 追加で必要な原稿、画像、確認
- 見積もりや契約変更の有無
- 元の納期を優先する場合に、後日対応へ分ける選択肢
「対応できます」とだけ答えると、元の納期も変わらないように受け取られる場合があります。「追加フォームを同じ公開日に含める場合は、下層ページの確認日を2日後ろへ調整する必要があります」のように、影響と選択肢を具体的に伝えます。
クライアントへの説明や合意は、Tasselが自動で行うものではありません。合意した結果を担当者・期限・完了条件へ反映し、判断経緯をコメントへ残します。
期限と着手順を個別に更新する
対応方針が決まったら、追加課題だけでなく、影響する既存課題も更新します。
確認する項目は次のとおりです。
- 追加課題の担当者・開始日・完了期限
- 既存課題の変更後の期限
- 先に進める課題と、後ろへずらす課題
- 確認する人と確認期間
- マイルストーンの期限
- 次の担当者が着手できる条件
期限や日程は課題ごとに個別に更新します。子課題間の順序や前提条件が自動管理される前提にはせず、変更理由と必要な順序を詳細またはコメントへ残します。
すべての日付を動かす前に、影響する課題だけを選びます。納期を後ろへずらす以外にも、担当者の変更、追加対応を複数の課題や時期に分ける、確認方法を変えるといった方法で対応できないかを検討します。
追加依頼を整理する確認手順
追加依頼を受けたら、次の順で整理します。
- 依頼内容・目的・希望日を記録する
- 判断中は「未対応」とし、判断する担当者を決める
- 元の完了条件・担当者・期限・見積もりへの影響を確認する
- 影響がある場合は、元の課題と分けて追加課題を作る
- 当初範囲・追加範囲・完了条件を詳細へ残す
- 一覧と必要に応じてガントで既存課題への影響を見る
- 同じ納期、日程調整、別見積もり、別プロジェクト、非対応から方針を決める
- クライアントへ影響と選択肢を伝える
- 合意後に、対象課題の担当者・期限・着手順を個別に更新する
- 判断理由と伝えた内容をコメントへ残す
この手順を長い承認フローにする必要はありません。元の予定を変える可能性がある依頼だけ、受付と対応確定の間に影響確認を入れます。
複数案件をまたいで担当者や期限の重なりを確認する場合は、Web制作で複数案件を同時進行するときのタスク管理方法も参考にしてください。期限変更の影響を早めに確認する方法は、期限が近いタスクを見落とさない確認方法で紹介しています。
まとめ
クライアントから追加依頼が届いたら、受け付けた時点と、対応を確定した時点を分けます。当初の完了条件・担当者・期限・見積もりへ影響する場合は、元の課題を書き換えず、追加課題として当初範囲・追加範囲・完了条件を記録します。
判断中の追加課題は「未対応」とし、一覧とガントで既存課題への影響を確認します。Tasselが影響を自動分析したり、日程を自動調整したりする前提にはせず、対応方針が決まったら影響する課題を個別に更新します。
元の納期内で対応する、日程を調整する、別見積もり・別プロジェクトにする、対応しないといった選択肢を比較し、クライアントへ影響を伝えます。判断理由と合意内容をコメントへ残すことで、追加依頼へ対応しても、当初の範囲と予定を見失いにくくなります。